日本の工事現場で安全に働くための服装の選び方

こんにちは、JAC(建設技能人材機構)の加納です。
今回は、日本の工事現場で働くときの服装について、安全衛生講師の鴨下さんに解説してもらいました。
日本の工事現場で働くときは、工事現場に適した服を着ることが大切です。
工事現場に適した服を着ることで、作業時の怪我を防ぎ、安全に働くことができます。
今回は、日本で安全に働くための作業着のルールと選び方をわかりやすく紹介します。
工事現場で服装に気をつけるべき理由
工事現場で働くときの服装には、体を守る大切な役割があります。
なぜ服装が大切なのか、理由を3つ紹介します。
理由①怪我を防ぐため
工事現場には、重い機械、切断面が鋭い鉄板、高い場所での作業など、危険がたくさんあります。
服装を間違えると、少しの不注意が大きな事故につながります。
例えば、工事現場では以下のような怪我が起きています。
- 安全靴を履いておらず、運んでいた鉄板を足に落として足の指を骨折した
- 保護手袋を着用しておらず、金属片で手指を切りひどく出血した
- ヘルメットを正しく着用しておらず、上から落ちてきた物で頭を打撲した など
これらの怪我は、正しい服装で作業をしていれば、防止できていた可能性があります。
また、タオルを首に巻いたり、サイズの合わない服を着たりすることも危険です。
タオルや服が機械に巻き込まれて怪我をする可能性があります。
理由②日本の厳しい暑さに対応するため
日本の夏は、気温が35度を超える日もあります。
また、湿度が高く蒸し暑いのが特徴です。
そのため、毎年多くの人が熱中症になっています。
特に建設業の仕事は、屋外での作業が多く、体をたくさん動かすため、体温が上がりやすいです。
適切な服装をしないと、熱中症になる危険が高まります。
2020年から2024年の5年間では、4,710人が仕事中に熱中症と診断され、そのうちの961人が建設業に関わる人でした。
これは全体の20%にあたります。
※厚生労働省「2024年(令和6年) 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」
理由③安全な工事であることを示すため
工事現場で正しい服装をすることは、工事が安全であることを示す役割があります。
もし、危険な服装で仕事をしている人がいたら、工事の依頼主や現場の近くを通る人は「本当に安全な工事なのか?」「事故が起きてしまうのでは?」と不安になってしまいます。
工事現場に相応しい服装で仕事をすることで、「この工事現場は安全だ」と安心して仕事を任せてもらうことができます。
工事現場の服装・作業着の基本ルール
工事現場で働くときの基本的な服装を紹介します。
体を保護するために必要な代表的なアイテムについても説明します。
工事現場での基本的な服装・アイテム
工事現場で着用することが多い服装・アイテムは以下の7つです。
- 長袖・長ズボンの作業着
- ヘルメット
- 安全靴
- 墜落制止用器具
- 手袋
- 高視認性ベスト
- 防塵マスク
それぞれ詳しく紹介します。
長袖・長ズボンの作業着

作業着は、基本的に長袖・長ズボンのものを着用します。
肌を隠すことで、火傷や切り傷などから身を守ります。
また、直射日光から身を守る役割もあります。
作業着を着用するときには、作業着の袖口のボタンをしっかり留めます。
また、作業着が破れていないか、工事現場に入る前に必ず確認しましょう。
ヘルメット

ヘルメットは、次のような場面で頭を守るために必要です。
- 上から物が落ちてきたとき
- 転んだとき
- 高い場所から落ちたとき など
ヘルメットを着用する際は、あご紐をしっかり締めます。
あご紐をしっかり締めないと、動いたときや衝撃があったときに外れてしまいます。
ヘルメットのあご紐が劣化していないかも、確認してください。
また、ヘルメットにはさまざまな種類があります。
工事現場で使う場合は、落下物用プラス墜落時保護用、必要に応じて電気用のものを選びましょう。
基本的には、会社が工事現場に適したヘルメットを貸与してくれます。
大切に管理しましょう。
安全靴

つま先に鉄製または樹脂製の硬い板が入っている特別な靴です。
重い材料が足に落ちたときや、釘を踏んでしまったときに、足を怪我しないように守ります。
安全に使えるように、破れていないかを確認しましょう。
墜落制止用器具

墜落制止用器具は、高い場所で仕事をするときに、体を足場につなぐ命綱です。
もし足場から落ちそうになっても、墜落制止用器具をつけていれば、地面まで転落することを防げます。
墜落制止用器具には、いくつかの種類があります。
最近の日本では、肩から股までを支えるフルハーネス型を使うのが基本ルールです。
墜落制止用器具のベルトが緩んでいると、万が一落ちたときに体が強く締め付けられて危険です。
ベルトは体にぴったり合うように調整し、ベルトがねじれていないか、フックがしっかり取り付けられているか、毎回必ず確認しましょう。
手袋

工事現場には、鉄筋やガラスなど、素手で触ると深い傷ができてしまう材料がたくさんあります。
そのような材料で怪我をするのを防ぐために、手袋を着用します。
重いものを運ぶときは滑り止めがついたもの、カッターなどを使うときは刃を通さない素材のものなど、作業内容にあわせて使い分けます。
熱や化学物質との接触から手を保護する場合もあります。
高視認性ベスト

高視認性ベストは、作業員の位置を確認しやすくし、車両や重機との事故を防ぐためのものです。
明るい色と反射テープにより、遠くからでも作業員を見つけやすいです。
建設現場では、車両や重機と作業員の接触事故も多く発生しています。
特に夜の工事や道路工事、天気が悪い日の工事などでは、接触事故が発生しやすくなります。
高視認性ベストを着用することで、そのような場面での事故の危険を減らします。
防塵マスク

コンクリートを削るときや、細かい粉が飛んでいる工事現場で使います。
防塵マスクを着用すると、目に見えない小さなゴミを吸い込んで病気になるのを防げます。
隙間がないように、顔にしっかりと密着させてください。
季節によって必要な服装・アイテム
日本は季節によって気温差が大きい地域が多いです。
そのため、季節によっては、暑さや寒さを防ぐ服装が必要です。
【夏】空調服

小さな扇風機がついた作業着です。
服の中に風を送って、汗を乾燥させ、体を冷やします。
暑い日の熱中症対策に効果的です。
空調服は、付属のバッテリーを充電して使います。
電気が切れると使えないので、使う前には充電を忘れないようにしましょう。
【冬】電熱ベスト
寒い冬の日も電気の効果で暖かく過ごせるベストです。
服の中にヒーターが入っていて、体がすぐに温まります。
一般的な厚手の上着よりも薄くて軽いため、体が動かしやすいです。
ただし、空調服と同じように、バッテリーを充電して使います。
電気が切れないように、使用前は必ず充電しておきましょう。
工事現場の服装・作業着の選び方

工事現場で働くときの服装を選ぶときは、次の3つのポイントをチェックしましょう。
ポイント①会社のルールと現場の指定
会社によっては、着用できる色やデザインが決まっていることがあります。
また、工事現場の環境によって、作業着の基準が細かく決められていることがあります。
例えば、夜の工事現場の場合、光を反射する反射板付きの作業着が必要などです。
作業着は、自分で買う場合と会社から支給される場合があります。
自分で買う場合は、買う前に必ず会社の人に「これで大丈夫ですか?」と確認してください。
会社から支給される場合は、上着とズボンがセットの作業着が支給されることが多いです。
一般的には、春から夏、秋から冬の年に2回支給されます。
そのほか、以下のようなものも定期的に支給されたり、貸してもらえたりします。
- 安全靴
- ヘルメット など
会社から支給されるものには、社名や会社のロゴがデザインされていることがあります。
工事現場にはいろいろな会社の人が集まるため、どの会社の人か判断しやすくするためです。
ポイント②サイズと動きやすさ
「少し大きめの服のほうが楽」と思うかもしれませんが、工事現場では危険です。
服が大きいと、足場に服が引っかかって転んだり、回転する機械に巻き込まれたりする心配があります。
反対に小さすぎると、体が自由に動かせず、疲れやすくなります。
試着をして、腕や膝がスムーズに動かせるサイズを選びましょう。
ポイント③品質や安全性
工事現場で身につけるものを選ぶときには、JISマークに注目してみてください。

https://www.jisc.go.jp/newjis/newjismknews.html
日本では、品質と安全性に関する厳しい規定が定められています。
JIS規格の厳しい規定に合格した製品には「JISマーク」がついています。
JISマークがついている製品があれば、それを選ぶと良いでしょう。
まとめ:工事現場での服装は安全を第一に考えよう
日本の工事現場で安全に働くためには、工事現場に適した服装をすることが大切です。
工事現場での服装は、大きな怪我や事故から自分を守るための大切な装備です。
正しい服装は、熱中症を防いだり、工事の安全性を示したりする役割もあります。
長袖・長ズボンやヘルメット、安全靴は、多くの工事現場で着用が必要なものです。
安全に仕事をするためにも、必ず着用しましょう。
服や靴を買うときは、会社が決めたルールを守ることも大切です。
体に合ったサイズを選び、正しい方法で着用してください。
自分で工事現場の服装を選ぶときは、日本の安全基準である「JIS規格」に合格したものを選ぶと安心です。
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