給与明細の見方をわかりやすく紹介!注意点や扱いかたも
こんにちは、JAC(建設技能人材機構)の加納です。
給与の支給日に会社からもらうのが「給与明細」です。
給与明細とは、給料(基本給)や給料以外にもらえる賃金(給与手当)などの金額が書かれた紙です。
給与明細の内容を、きちんと確認したことはありますか?
給与明細は気をつけて見るべきところがあります。
そのため、見方を知ることは大切です。
今回は、給与明細の見方をわかりやすく紹介します。
また、給与明細は保管をしておく必要もあるので、その理由も解説します。
※給与:会社から支給される給料(基本給)や給料以外にもらえる賃金(給与手当)の総額
※給料:会社から支給される給料(基本給)のこと
給与明細の見方をわかりやすく紹介!
給与明細とは、勤怠・支給・控除が、詳しく書かれた書類です。
会社が従業員に給与明細を渡すことは、法律で義務になっています。
給与明細に書かれている内容を確認するときには、「締め日」「支給日」を知っておくことも大切です。
- 締め日:給与計算をするための期間の最終日
- 支給日:給与の支払い日
「締め日」と「支給日」は、会社によって違います。
給与明細で見るべき3つの内容
給与明細に書かれている大事な3つについて、見方を説明します。
- 勤務した日数や時間(勤怠)
- 会社から支払われる金額(支給)
- 給与から引かれる金額(控除)
給与明細の書き方は会社によって違います。
これから紹介するものがない場合は、給与の担当者に聞いてみましょう。
1.勤務した日数や時間(勤怠)
「勤怠」には、勤務した日数や労働時間が書かれています。
一般的に、勤怠に書かれているのは次のような項目です。
- 就業日数:会社が定めた仕事をする日数
- 出勤日数:仕事をした日数
- 欠勤日数:仕事を休んだ日数
- 特別休暇日数:冠婚葬祭(結婚式や葬式)で特別休暇を取得した日数
- 有給休暇日数:有給休暇を使った日数
- 有給休暇残日数:残りの有給休暇の日数
- 労働時間:勤務時間の合計
- 残業時間:法定労働時間または所定労働時間を超えて仕事をした時間 ※
- 深夜時間:22時~翌日5時の間に仕事をした時間
- 休日労働時間:法律(労働基準法)で定められた休日に仕事をした時間
- 遅刻早退時間:遅刻や早退で仕事ができなかった時間
※法定労働時間は、法律(労働基準法)で定められた労働時間の上限です。所定労働時間は、会社が定めた労働時間の上限です。
★見方のポイント
特に、勤務日数、勤務時間、欠勤日数に間違いがないか確認しましょう。
2.会社から支払われる金額(支給)
「支給」には、会社から支給される基本の給料(基本給)と、基本の給料以外にもらえる賃金(給与手当)が書かれています。
支給欄に必ず書かれているのは、次の2つです。
- 基本給:毎月支払われる基本の給与
- 残業手当:基本の時間以外に働いた仕事に支払われる賃金
このほかに、給料以外にもらえる賃金(給与手当)の例を紹介します。
※ただし、すべての会社で支払われるものではありません。会社によってもらえる条件も違います。
- 通勤手当:通勤にかかる交通費
- 役職手当:役職に対して支払われる賃金
- 資格手当:資格を持っていたり、取得した場合に支払われる賃金
- 住宅手当:住む家の家賃を補助する賃金
- 家族手当:配偶者(妻や夫)や子どもなど扶養家族がいる場合に支払われる賃金
- 地域手当:物価が高い地域や生活が不便な地域、寒い地域などで働いている場合に支払われる賃金
- 出張手当:出張したときに支払われる賃金
- 皆勤手当:仕事を休まなかった場合に支払われる賃金
建設業の場合は、会社によって次のような手当が支払われることがあります。
- 現場手当:現場での仕事に対して支払われる賃金
- 坑内手当:トンネルなどでおこなう作業に対して支払われる賃金
- 運転手当:作業をおこなうのに必要な車の運転に対して支払われる賃金
- 工具手当:自分で買った工具に対して支払われる賃金
★見方のポイント
給与の支払い対象期間中の仕事について、手当がついているか確認しましょう。
3.給与から引かれる金額(控除)
「控除」には、給与から引かれる保険料や税金の金額が書かれています。
保険料や税金は、主に次のようなものです。
【保険料】
- 健康保険:病気やけがの治療にかかる医療費に備える保険
- 介護保険:高齢やけがによる介護サービスを受けるための保険(日本に3カ月以上滞在する40歳以上の外国人の場合)
- 厚生年金:会社員や公務員が入る公的な年金保険
- 雇用保険:失業や育児休業に備える保険
※入る保険は、働く条件によって変わるので会社に確認しましょう
【税金】
- 所得税:その年の1月1日から12月31日の間の所得に対してかけられる税金
- 住民税:住民票のある市町村や都道府県に支払う税金
★見方のポイント
毎月の所得税は、おおまかな計算で給与から引かれているので、正確な計算は年末におこないます。
この計算のことを「年末調整」といいます。
そのため、足りない場合は引かれ、払いすぎた税金は戻ってきます。
引かれる場合は、控除の部分の金額に「-(マイナス)」がつきます。
税金が戻ってくる場合は、「年末調整還付額」や「所得税還付額」という名前で書かれます。
12月の給与明細に書かれていることが多いですが、1月・2月の場合もあるので、給与の担当者に聞いてみましょう。
給与明細を見るときの注意点
給与明細をもらったら必ず確認しましょう。
確認するべき内容は、主に次のような点です。
- 勤務日数、勤務時間が正しいか
- 残業時間が正しいか
- 勤務日数や残業時間、手当は雇用条件と間違いがないか
特に、残業手当の計算方法は知っておきましょう。
残業手当の計算方法
残業手当は、1日8時間、週40時間を超えて働いた仕事(時間外労働)に対して支払われる賃金です。
ただし、雇用契約書に「基本給に月◯時間の残業時間を含む」と書かれている場合は、この残業時間を超えた金額が支払われます。
【残業手当の計算方法】
■残業手当 = 1時間の賃金 × 割増率 × 残業時間
※1時間の賃金 =(月額給料-手当*1)÷ 1カ月あたりの平均所定労働時間(*2)
*1:労働と関係ない賃金(家族手当、住居手当など)
*2:1カ月あたりの平均所定労働時間 = 年間で仕事をした日数 × 所定労働時間 ÷ 12
割増率は残業時間の種類区分によって違います。
残業の種類 | 割増率 |
---|---|
時間外労働 | 1.25 |
休日労働 | 1.35 |
深夜(22時~翌5時)労働 | 1.25 |
時間外労働 + 深夜労働 | 1.5 |
休日労働 + 深夜労働 | 1.6 |
出典:厚生労働省「割増賃金の基礎となる賃金表」
計算方法がわからない場合は、給与の担当者に聞いてみましょう。
給与明細の扱いかた
給与明細は、次のような場面で必要です。
- 確定申告をするとき
- 未払いの給与を請求するとき
- 雇用保険に入っている期間を確認するとき
確定申告は、所得税を自分で計算して申告する手続きです。
払いすぎた税金がある場合、確定申告をすることで、払いすぎた税金が返ってきます。
基本的に、会社員の場合は自分でしなくていいです。
次の条件に当てはまる場合に確定申告が必要です。
- ほかに仕事をして収入を得ている場合
※副業を禁止としている会社もあるので会社に確認しましょう。 - 複数のアルバイトをしていた留学生や特定活動の人が特定技能へ移行する場合
また、未払いの給与や残業手当があるときは、給与明細を証拠の一つとして請求できます。
給与明細が発行されてから2年以内なら請求ができます。
雇用保険に入っている期間の確認にも使えます。
最低2年間は保管しておきましょう。
まとめ:給与明細は勤怠・支給・控除を確認!残業手当の計算や保管期間にも注意しよう
給与明細は、会社が従業員に給与を支払うときに必ず会社が発行するものです。
給与明細には「勤怠」「支給」「控除」について詳しく書いてあります。
勤怠では、勤務日数や残業時間などを確認できます。
支給では、基本の給料と、基本の給料以外にもらえる賃金を確認できます。
控除では、給与から引かれる金額を確認できます。
給与明細は雇用保険の確認や確定申告、給与未払い時の請求などにも使うため、最低2年間は保管しましょう。
※この記事は2023年11月の情報で作成しています。
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